セラミッククラウンがふさわしいかどうかを一緒に考えてみましょう

理想はセラミッククラウンです

最近来院された患者さまで、上前歯6本のセラミッククラウンを希望された方がいらっしゃいました。
その方のお口の状態やかみあわせなどを検査していましたら、歯の表面がすりへっていて、はぎしりをしている可能性があることがわかりました。

自分では気づきにくいはぎしり

ご本人さまは、はぎしりをしている自覚がないようですが、じつははぎしりをしていない人はいないのです。
程度の差はありますが、どなたでもはぎしりをしているのです。

たまたま同室で就寝されている方に指摘されて気づくこともありますが、一人で就寝されている場合はその事実に気づかないことが多いようです。

結局(私の提案で)、セラミッククラウンではなく、健康保険治療の範囲で取り扱われている硬質レジン前装冠というクラウンを採用することになりました。

私がそのように判断した理由は、セラミッククラウンはじょうぶだと言われていますが、割れることもあるからです。

この方は筋肉質(男性)で、特に咀嚼筋(頬のあたりの筋肉)が非常に発達していて、そのうえはぎしりの可能性が高いということが経験的にはっきりとわかりました。

検査した結果から総合的に判断し、セラミッククラウンによる治療は適切ではないという結論にたどりつきました。

そのような提案に対しその方は、少しも残念そうではなく、むしろ親身になってアドバイスをしてもらえたことに感謝してくださいました。
そして喜んで健康保険による治療を受けられました。

つい先日、無事治療が終わりましたので、感触や感覚、そして見た目においての感想を確認しましたところ、とても満足されていました。

かむ力はあごの関節にも伝わります

このようにセラミッククラウンが割れるかもしれないということが今回の治療方法の選択理由になったわけですが、もうひとつ心配だったポイントがありました。

それはたとえセラミッククラウンが割れなかったとしても、その方のきわめて強い咀嚼時の圧力や就寝時のはぎしりの圧力が、セラミッククラウンを介して根っこや顎関節にダメージを与えてしまうかもしれないという問題があったからです。

そのあたりも考慮したうえで、このような選択に至りました。
というのもセラミッククラウンには弾力がほとんどないからです。

素材の弾力の必要性

一方で今回採用した硬質レジン前装冠は表がレジン(プラスチック)で裏が金属という組み合わせで構成されています。

レジンも金属もある程度弾力がありますから、この方の場合は使用する素材の弾力でかむ圧力を緩和させるという方法をとったわけです。

ただしかしながらレジンは劣化ですとか、変色などの弱点がありますので、場合によっては時期を見て(今回作製したクラウンを)新しく作りなおすことになるかもしれません。

その点を十分患者さまにお知らせして、ご理解をいただいています。

セラミッククラウンのかわりに硬質レジン前装冠ではぎしりに対応した写真です。

かむ力は人それぞれ大きくちがいます

男性と女性ではかむ力、はぎしりの力に差がありますし、お一人お一人それぞれ力に差があります。

えとう歯科ではそのあたりをよくお調べしましてから、セラミッククラウンがふさわしいかどうかを一緒におはなしあいさせていただくようにしています。

その患者さまのご希望をかなえることも大事ですが、これまでの私(たち)の治療経験や、材料学的なデータなどもご理解いただきながら治療を進めてゆくようにしています。